働かなくてもお金がもらえるとしたら?ベルリンでのベーシックインカム導入実験から見えてくるもの。
どうも、tomoです!
ドイツBizGuide に掲載する記事を書かせていただきました。
タイトルは「ベーシックインカムで人々の生活はどう変わる?~ベルリンでの導入実験~」。
何もしなくても最低限のお金をもらえるとしたら、人の生活はどう変わるのか?
何の仕事もせずに怠ける人ばかりになる?
僕はそうは思いません。
仕事が「生きるための義務」ではなくなったとき、自分の好きなこと・やりたいことを仕事にしようとする人が増えるのではないか?
ベーシックインカムのある社会を想像してみることは、一人一人が自分の生き方や働き方を見直すきっかけになるのではないでしょうか?
働かなくても生活が保障される「ベーシックインカム」
「ベーシックインカム」という言葉をご存知ですか?
”ベーシックインカム(basic income)とは最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想” -Wikipedia
つまり、簡単に言うと「何もしなくても、生活するためのお金がもらえる」制度です。
「ベーシックインカム」制度についての議論は、実は以前から行われていました。
支給するお金をどこから持ってくるのか。仕事をする人が減って社会が成り立たなくなるのではないか。
賛否両論、さまざまな声があり、議論ばかり白熱してなかなか前に進まない。
現実的でないと思う人もいるかもしれません。
しかし、未来の社会の在り方の1つの可能性として、世界各国で様々な取り組みがなされているんです。
例えば、フィンランドでの国をあげての実験が話題になりましたし、スイスでも今年の夏にベーシックインカム導入に向けた国民投票が行われるようです。オランダのユトレヒトでも、ベーシックインカムがもたらす影響を調べる実験が2015年1月に始まりました。
ベルリンで行われるベーシックインカム導入実験
日本ではあまり取り上げられていないかもしれませんが、実はドイツでもベーシックインカムに関する動きがあります。その名も「Mein Grundeinkommen(マイ・ベーシックインカム)」(訳は僕が勝手に付けました)。ネット上のプラットフォームに登録した人の中から抽選で、ベーシックインカム受給者が選ばれる、という実験です。
簡単にまとめると、
・資金は、クラウドファンディングによる寄付金
・12,000ユーロ集まるたびに抽選が行われる
・プラットフォームへの登録時に「ベーシックインカム」でやりたいことを記入
・当選者には、一年間毎月1,000ユーロのベーシックインカムが支給される
・その一年間、実際に行ったことや買ったもの、生活の変化などを報告
考えに共感した人からの寄付金を募り、実際にベーシックインカムが人々の生活をどう変化させるのか実験してみよう!という目的のもとで行われているのが「マイ・ベーシックインカム」という活動なんです。
ベーシックインカムで人の生活はどう変わる?
国家単位で動くフィンランドやスイスとは違い、この「マイ・ベーシックインカム」の活動を立ち上げたのは、たった一人の29歳の男。
いくら議論していても始まらない。実際に導入して、人々の生活がどう変わるのか試してみよう。
彼はそう考えました。政治・経済的な実現可能性についていつまでも話し合っていても前には進みません。
なかなか思い切った決断ですけど、「マイ・ベーシックインカム」の受給者による報告を通じて、議論からは見えてこないベーシックインカムが実際にもたらす生活の変化が少しずつ見えてきました。
現在までの「マイ・ベーシックインカム」当選者は合計26人。
コールセンターでの仕事をやめ、教師を目指すために大学に入りなおした人。
経済的な不安がなくなり、心置きなく活動できるようになった芸術家。
生活が保障されたことで、腸の慢性的な病気から快復した人。
これ以外にも、さまざまな変化が報告されていますが、共通するのは「不安がなくなった」ということ。
ベーシックインカムには、人の生活から不安を取り除く力がある。そして、不安がなくなることで、本当に自分の進みたい道を選びなおす人がいれば、それまでの活動により大胆に取り組めるようになる人もいる。長いこと悩ませれていた病気まで治ってしまう。
経済的な不安から解放されることで、多くの人が自分なりの生き方・働き方をより自由に選べる社会になるんじゃないか、と僕は思っています。
まだまだ始まったばかりの「マイ・ベーシックインカム」ですが、ベーシックインカムが実際にもたらすこのような効果は、議論しているだけでは決して分からなかったはずです。
自分の生き方や働き方を見直し、考えるきっかけに
ベーシックインカムの考え方を知り、興味を持って調べているうちに、この制度のメリット・デメリットが分かってきました。
貧困や失業者問題を解決する糸口になるかもしれない。社会保障制度の手間を減らせるかもしれない。
そう簡単に実現というわけにはいかないでしょう。スイスの国民投票やフィンランドでの実験の結果から、またさまざまな意見が出てきて、さらなる議論を積み重ねていくことになる。
僕はここで、経済や政治の難しい話をするつもりはありません。というか、知識不足なので下手に意見を述べようとも思いません。
ただ、もちろん実現するかどうかも気になりますが、いま僕がベーシックインカムに関して期待しているのは、人々が”考える”きっかけを得ること。
働かなくても生活が保障される、つまり、仕事が生きるための義務ではなくなったとき、自分ならどう生きるか、どう働くか。いまの仕事を続ける、と胸を張って言えるか。それとも、本当に好きなことをして生きるか。ベーシックインカムが話題になるだけでも、生き方や働き方を考えるきっかけになる。
「マイ・ベーシックインカム」は、まだ始まったばかりで規模も大きくはありません。
でも、受給者の報告を通じて、ベーシックインカムのある生活を想像する機会を多くの人に提供している。それだけでもこの活動は成功だといえるのではないかな、と僕は思うんです。
今後どう進展していくのか楽しみです。
この記事を読んで、ベーシックインカムに興味を持つ人が一人でもいれば。
そして、「仕事が生きるための義務ではなくなったとき、どんな生き方、働き方をするか」を考えるきっかけになれば、嬉しいです!
「働かなくても、お金がもらえる」
そんな社会になったら? 一度想像してみてると、仕事や人生に対する自分の価値観を見直すきっかけになるかもしれません。
よかったら、ドイツBizGuideに掲載していただいた元の記事にも目を通してみてください!
ベーシックインカムは存在自体昨年知ったばかりで、正直まだまだ勉強不足。
今回書いた意見も個人的な理想論にすぎません。
現実的な可能性についても少しずつ学んでいこうと思いますー。
それでは!
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