『ワーク・シフト』を読んで、好きを極めた専門家が生き残る未来に確信を持てた。

公開日: 2016年4月10日日曜日 書評 働き方


どうも、tomoです!

今更ながら、『ワーク・シフト』読みました。

あまりの面白さに、一気読み。

未来の働き方について、さまざまな観点から書かれたこの本。これからの時代を生きる上での必読書だと思います。

「仕事とはこういうものだ」という固定観念の多くがなくなり、新たな選択肢が増え、自分なりの働き方をつくっていくチャンスも生まれている。でも、ただ受け身で未来を待っているだけでは何も変わらない。

自分の意志で選択し、その結果に責任を持つことが大事。そして、従来の仕事への考え方や働き方を根本からシフトしていかないといけない。

人生の大部分を占める仕事。どんな働き方や仕事を選ぶかは、人生の質も左右する。

とはいっても、何をどう「シフト」していけばいいのか。この疑問に対し、『ワーク・シフト』では3つの「シフト」が紹介されています。

今回はその中でも、専門家かジェネラリストかについて書かれた<第一のシフト>を取り上げてみます。






「広く浅く」ではなく、ソロでも生きられる深い知識と経験を


これまでは、幅広くいろんな分野の知識やスキルを兼ね備えた万能タイプになることでリスクを抑えられたのかもしれません。

また、それほど深い知識や経験がなくても、一度入った企業のなかで通用する能力さえ身に付ければ、定年まで終身雇用を保証してもらうことができました。

でも、これからの未来では、「広く浅く」のジェネラリストはそう簡単に生き残れなくなる。

Wikipediaをはじめ、インターネットで調べればある程度の知識や情報はいとも簡単に、しかもすばやく手に入るようになっているから。

未来の世界では、深めたい分野を決め、時間と努力を重ねて自分の専門をつくりあげていかないといけなくなります。さらに、身に付けた1つの専門に安住することなく、周りの変化や自分の関心に応じて活動の幅を広げ、自分自身をマーケティングする必要がある。


企業に入りさえすれば、定年まで安泰。そんな時代はもう終わろうとしている。

『仕事。』という本の中で、著者の川村元気さんと作家の沢木耕太郎さんがこんなやりとりをしています。

沢木 大切なのは「どこにいてもソロで生きられる力をつけろ」ってことなんですね。 
(中略)
川村 僕もパーティに所属することが目的になってそこに満足していたり、既得権益に乗っかって山に登ろうとしていたりする人がいると、イラッとしてしまいます

これからは、組織に頼りっきりの人ではなく、「ソロで生きられる力」をつけた人が生き残れる時代になる。


いわば、産業革命以前の「職人」の時代に近づくのかもしれません。

18世紀半ば~19世紀にかけての産業革命によって、仕事は最小単位に分割されました。限られた能力しかなくても、機械的に”歯車”となって、「時間」さえ捧げれば誰でもいい。そんな働き方が増えた

その一方で、「職人」はすべての工程を一から全部自分の手でこなすことで、スペシャリストとして
の地位を確立していたんです。

ただし、未来の世界では、かつての職人のようにスキルや経験を深めても、一人で活動し続けていては限界にぶつかる。そこで、他の人とのネットワークを築き、互いの専門を生かしあうことが大切になってきます。

周りに頼りきってしまうのではなく、互いに生かしあう。ソロでも生きられるんだけど、一人っきりで活動するのではなく、ゆるくつながる。

それが、未来における働き方のスタンダードになるのかもしれません。


生き残るスペシャリストへの道


未来においては、「連続スペシャリスト」を目指すべきだと書かれています。

そのためのポイントは、ざっくりと以下の4つ。

1、どんなスキルや知識が価値を持つようになるか、予測する
2、その中でも、自分の「好きなこと」を仕事にする
3、ひたすら磨く
4、変化に柔軟に対応し、専門外へも目を向ける


しっかりと分析をした上で分野を選び、1つの専門をひたすら磨き上げ、それを土台に他の分野にも視野を広げ、変化と成長を続けるべきだ、ということです。


これから価値が増す専門分野の3つの条件


高い価値をもつ専門分野には、共通する3つの条件があります。

1つ目は、多くの人に「価値がある」と認められていること。

2つ目は、需要が供給を上回っていること。

3つ目は、まねされにくいこと。


何の専門家になるかを考えるとき、これらの条件が1つのヒントになる。需要のないものを供給しても受け取る人はいないし、少し練習すれば簡単にまねできるようなスキルにはあまり価値がありません。

こういったポイントを客観的に押さえることで、自分が選ぼうとしている専門分野にこれから価値が生まれるのかどうかを確かめることができる。

とはいっても、「価値があるかどうか」だけで専門や仕事を選ぶのはあまりにも味気ない。

あくまでも「好きなこと」を仕事にすべきだと『ワーク・シフト』の中でも書かれていて、安心しました。



あくまでも「好きなこと」を仕事にする


インターネットなどを通じて、いろんな人の生き方や働き方を知ることができるようになっています。

「こんな人もいるんだ」
「こんな活動があるんだ」

「知る」ことで、選択肢の幅が広がる。そして、目の前に広がるさまざまな選択肢を1つ1つ吟味し、得るものと失うものをあらかじめ予測する。


ここでも、『仕事。』から川村元気さんの言葉を引用したいと思います。

自由というのは、”何も考えないで突き進む”イメージがあるけど、本当の自由を獲得するためには先手を打ったりとか、考えて動いておくとか、そういうことのほうが重要なんですよね

増えた選択肢の中から、どれを選ぶかは自分次第。これまでより「自由」に生きる人も多くなる。ただ、川村さんの言うように、「何も考えないで突き進む」のではなく、「先手を打ったり」、「考えて動いておく」ことでしか、”本当の自由”は得られない。

そうして、現実をしっかりと見据えた上で、あくまでも自分の「好きなこと」「やりたいこと」を仕事に選ぶことが大切だと『ワーク・シフト』の著者は言います。

未来は、機械的にこなすだけの仕事はロボットが行うようになり、知識・創造性・イノベーションが人間の仕事の核になるはず。そこで成功のカギとなるのが、「その仕事が好きかどうか」、そして「粘り強く努力できるかどうか」。

冷静に現実をみつめた上で、情熱を注げる仕事を選ぶ。

人生や仕事の自由が増えるからこそ、現実を見つめる冷静さと、自分の内にある情熱とのバランスが大切になるんだと思います。



現状に満足せず、変化し続ける


創造力やイノベーションがカギになるとはいえ、専門を磨きつづけるには、努力と根気が欠かせません。

そこで見習うべきなのは、職人がスキルを身につけるプロセス。何十回、何百回、何千回と同じ作業を反復し、知識やスキルを自分のものにしていく。

ただしこれからは、昔の職人のように自分の専門だけに集中しすぎて、視野が狭くならないように。気をつけないといけません。

視野を広げる方法は大きく分けて2つ。

1つは、幅広くいろんな人とのネットワークを結び、自分にはないアイデアや発想に触れること。

もう1つは、自分の専門を土台に、関連する複数の分野を自ら学ぶこと。


現状に満足せず、自分の殻を破り、変化する。これは『ワーク・シフト』の中で「脱皮」と表現されています。

脱皮する人の特徴は、「頭で考えるよりまずは動く」こと。考えるだけでは何も変わらない。行動の結果として、考え方が変わる、という順序なんです。

とはいっても、変化するには勇気が必要。人間誰しも、現状のままでいる方が楽だから。

それでも、未来の働き方に欠かせない「脱皮」を繰り返すコツがいくつかあります。

・目の前のチャンスにすぐ飛び込むのでなく、新しい世界を少しずつ試す。
・いろんなタイプの人と付き合う。
・はじめのうちは「副業」という形で乗り出す。

いきなりすべてを変えてしまうのは危険でもあるし、なかなか勇気が要ることです。

小さくても、まずは一歩踏み出す。深いと思っていた川も、一歩踏み出してみれば意外と浅かったなんて経験はありませんか? 

大きな変化を前に尻込みして立ち止まるより、まずは小さな変化を。




自分という存在を世界に示す


これからは、ソロで生きていける力をつけていかないといけない。

そこで重要になるのが、自分という存在をしっかりアピールすること。会社や組織に属さず、フリーランスとして働くと、「見えない存在」になりやすいからです。

この「見えない存在」にならなくてすむことが、企業に入る最大のメリットでもあります。個人の業績や成果物は人事データとして登録され、会社が管理してくれる。


一方、ソロで生きるなら、自分の能力や成果を自らはっきりと示さないといけません。

また、たとえ企業に属していたとしても、これまでのような厳格な階級制は減り、外部の人との協力によるプロジェクトごとの仕事が増えていくはず。

つまり、これからの時代は、フリーランスにしても、会社員にしても、「自分」という存在を他人に印象づける努力が欠かせなくなる。

以前の記事で書いたことがありますが、「こんなことをしています」と叫ばないことには誰も気づいてくれません。

ただし、未来の世界で「自分」というブランドを築くには、「私は、こんなことができます」と叫ぶだけでは不十分。個人ブランドづくりを手伝うビジネスが増え、また、自分の能力や成果を”盛る”人も出てくるため、周りとの差別化に加え、信頼や共感が何より大切になります。


また、「自分」という存在を示すべきとはいえ、まずは能力やスキルを磨くのが前提。質の高い仕事をし、その上でアピールすべきなんです。

個人的にライティングの仕事に当てはめて考えてみると、誰にでも書ける文章をいくつもこなしてもアピールにはならないんですよね。1つでもいいから自分にしか書けないものを書かないと

ここで三度、沢木耕太郎さんの言葉を。

今の若いフリーランスのライターがある時期ぐっと我慢して、大きな仕事を一つするってことをどうしてできないんだろうって思ったりもするんですよ。3年歯を食いしばって名刺の代わりになるような仕事を完成させれば、そこから自由が拓けるのに、それを耐える忍耐力が若い書き手には少ないんだろうかって。

どんな職種にしても、すぐ目の前の課題に追われるのでなく、ぐっとこらえて質の高い、大きな仕事に力を入れる時期が必要なのかもしれません。

それこそ「名刺代わり」の仕事を1つでもできれば、それが最大のアピールになるんだと思います。




最後に



未来に向けて、働き方を「シフト」させないといけない。

『ワーク・シフト』を読んで、より強く思うようになりました。

今回は3つのシフトのうち、「第一のシフト―ゼネラリストから連続スペシャリストへ


会社に入り、「広く浅く」知識を身につけた人が強かったこれまでの時代は終わり、自分の専門を深め、変化と成長を続けるスペシャリストが生き残る時代になろうとしている。

これだけを聞くと、不安になるかもしれません。より競争が厳しくなってしまうんじゃないか、と。

たしかに、ソロで生きるために「自分」をアピールし、周りと差別化するのは簡単ではないと思います。

でも、だからこそ「好きなこと」を仕事に選ぶのがこれからの働き方になるという点には、個人的にワクワクせずにはいられません。

努力が苦にならないような「好きなこと」を仕事にしてこそ、周りを引きつける魅力的な存在になれる。

働き方の選択肢が増える中で、冷静に現実を見つめる視点さえ忘れなければ「好きなこと」を仕事にできる、いや、むしろそうすべき時代になろうとしているんです。

そんな未来の世界で、自分は何を専門にしたいのか、冷静さと情熱のバランスをとりながら考えるべきときが来ているんだと思います。

それでは!






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